サブリース解約できない投資マンション、売却できるのか?CFP×宅建士が出口戦略を解説【2026年版】

「サブリース契約のまま、売れるのだろうか。」

そう思いながら、なかなか動き出せずにいる所有者様は多いと思います。

調べれば調べるほど、

  • 「解約しないと売れない」
  • 「解約には正当事由が必要」

という情報ばかりが出てきて、出口が見えなくなってくる。

そして、勇気を出してサブリース会社に解約を申し出たら、こう言われた所有者様もいます。

「借地借家法上、応じる義務はありません。」

借地借家法
立場の弱い一般の入居者を守るための法律です。ところがサブリース契約にも同じ法律が適用されるため、サブリース会社は「賃借人」として強く保護されます。

所有者側からの解約には「正当事由」が必要で、「売却したいから」という理由だけでは、正当事由として認められるケースはほとんどありません。


「空室リスクがなくて安心」と言われて契約したものの

物件所有者様に不利なサブリース契約の条文例

  • サブリース契約期間中であっても、退去時の原状回復費用は所有者負担
  • 入居者の募集費用は所有者負担
  • サブリース契約中の設備等のメンテナンス費用は所有者負担
  • 2〜3年ごとに1ヶ月分の賃料が支払われない

サブリース契約の解約の難しさ——
契約時に書類で説明はあっても、その意味を十分に理解できていた所有者様は多くないのが実情です。

「自分が甘かった」

「もっと調べるべきだった」
と自分を責めている所有者様も多いかと思います。

ただ、多くの所有者様とお話せていただく中で、
理解できるまで伝えられていなかったケースが、実務上は非常に多いと感じています。

一つだけ、先にお伝えしておきたいことがあります。

売却を考え始めても、サブリース会社への連絡は控えてください。

サブリース会社と販売会社はグループ関係にあることが多く、所有者様側の売却の動きを察知すると、

  • 新しい買い手への契約承継を難しくしたり
  • 保証賃料の減額交渉

を仕掛けてきたりするケースがあります。

動き方の順番を間違えると、せっかくの売却機会を自ら狭めてしまうことになります。

出口はあります。ただし、順番と動き方が全てです。

私は1級FP技能士・CFP®・宅地建物取引士として、不動産会社を経営しながらFP業務を行っています。
売却ありきではない完全に中立な立場で、実務のリアルな目線から解説します。

サブリース契約
目次

サブリース契約のまま売却できるか?

「当初、営業マンから聞いていた月々の金額と、実際の額が違う。」

そう気づいたとき、多くの所有者様はまず営業マンに連絡します。
うまくかわされる。

次にインターネットで調べる
難しい法律の話ばかり出てきて、余計に不安になる。

ファイナンシャルプランナー(FP)に相談したら、保険を勧められて終わった——
そんな経験をされた方も少なくないと思います。

このまま持ち続けていいのだろうか
売ることはできるのだろうか
売却したらいくらくらいになるのだろうか。

誰に聞けばいいかもわからないまま、毎月の口座引き落としだけが続いている——
そのような状態でご相談にいらっしゃる所有者様は、多くいらっしゃいます。

そういった所有者様から、最初に必ずといっていいほど聞かれる言葉があります。

「仮にサブリース契約がついたままでも、売れますか?」

結論:サブリース契約がついたまま売却は可能です。

サブリース契約が付いたまま売却する方法があります。

地位承継(ちいしょうけい)

現在のサブリース契約を、そのまま新しい買い手に引き継ぐ手続きです。
所有者が変わっても、サブリース会社との契約関係は継続されます。
つまり、解約しなくても売ることはできるのです。

※金融機関やサブリース会社によっては不可となる場合もあります

ただし、現実は厳しいです

売却価格は相場より大幅に下がる傾向があります。
「売れる」ことと「高く売れる」ことは全く別の話なのです。

「解除してから売りたい」の理想と現実

違和感が積み重なった先に、多くの所有者様が考えることがあります。

できれば売却したい

ただ、売却について調べていくうちに、初めて気づく所有者様が多いのが実情です。

サブリース契約が付いたままでは売却が難しくなること。
そして、解除しようとしても簡単にはいかないことを

自分の資産形成のために最善を尽くしてくれると思っていた。


でも、いざ問題が起きて営業マンに連絡すると

話をはぐらかされる
あるいは、すでに退職していていない

会社に連絡しても、明確な答えは返ってこない

「あぁ、自分のことは考えてくれていなかったんだ。」

その事実に気づいたとき、多くの所有者様は呆然とします。
そして、相談先を探し始めた所有者様が、次に考えることがあります。

サブリースを解除してから売れば、高く売れるんじゃないか。

【理想】

これは正しいです。

サブリースなしの状態であれば、実際の入居者家賃をベースに利回り計算ができるため、買い手にとって魅力的な物件になります。

サブリース解除してから売る、それが理想の出口です。

【現実】

ただ、「サブリース解除」が非常に難しい

サブリース契約には借地借家法が適用
されるため、
オーナー側からの解約は「正当事由」が必要です。

「売却したい」という理由だけでは、
正当事由として認められるケースはほとんどありません

裁判で争っても勝てないケースがほとんどで、
泥沼化して数年単位で時間を消費した事例も実際にあります。

プロの視点

近年、国もサブリース契約のリスクを重く見るようになり、
契約前の重要事項説明が法律で義務付けられるようになりました。

しかし、現時点ではサブリース業者の勧誘や広告の適正化が主な目的であり、
所有者様の損失につながる行為や解約を阻む行為への直接的な規制には至っていません。

sell

サブリース付き売却が「安くなる・売れにくい」3つの理由

売れることはわかった。
でも、どのくらい安くなるのか。

それは所有物件・サブリース会社・ローン残債によって変わります
ただ、価格が下がる理由は共通しています。
まずその構造を確認していきましょう

理由1:利回りの低下と「ブラックボックス化」

投資用不動産の価格は「利回り」で決まります。
サブリース物件の場合、価格計算の基準になるのはサブリース会社からオーナーに支払われる「保証賃料」です。
これは実際の入居者家賃(実家賃)より15〜20%程度低いのが一般的です。

さらに問題なのが「ブラックボックス化」です。
サブリース会社は実際の入居者の募集賃料を開示したがりません。
実家賃と保証賃料の差額が明らかになるからです。買い手は「本当の利回りが分からない不透明な物件」を敬遠します。

逆ザヤの例

オーナーへの保証賃料は7万円なのに、実際の入居者からは6万円しか取れていないケースも存在します。このような物件は買い手にとって想定外のリスクとなり、売却が極めて難しくなります。

理由2:買い手側の「融資の壁」

サブリース物件への融資を嫌がる金融機関は少なくありません。
特に、過去にトラブルを起こした特定のサブリース業者が絡む物件には、融資を断る銀行も存在します。

融資が通らないと、買い手は「現金で購入できる投資家」に限られます。
そうなると足元を見た厳しい価格交渉をされるケースが多く、結果として売却価格が下がります。

理由3:新オーナーへの「家賃減額トラップ」

所有権が移転するタイミングを狙って、サブリース会社が、
新しいオーナーに保証賃料の引き下げを要求してくるケースがあります。
買い手となる投資家はこのリスクを熟知しているため、購入に慎重になります。
結果として売却価格の引き下げ交渉につながることが少なくありません。

3つに共通しているのは、「情報が見えないことが価格を下げる」という構造です。
次のセクションでは、その情報をどう整理するかを解説します。

サブリース付き投資マンション、売却前にやるべき3つのステップ

「情報が見えない」という構造は、実は変えられます。ただし、動く順番が全てです。


STEP

まず「売るべきか」を数字で整理する

売却に動き出す前に、一度立ち止まってください。手元にあれば、以下の書類を確認します。

  • 購入時の売買契約書・重要事項説明書
  • 契約書類に保管されている長期修繕計画・管理組合から送られてくる議事録
  • ローン返済表
  • 賃(転)貸借契約書(サブリース契約書)
  • 不動産収支内訳書(確定申告書)

まず、所有した場合の収支を確認することで、今、売却した場合と持ち続けた場合の損益を数字で比較できます。また、売却時の譲渡所得税も含めた「本当の手取り」を把握してから動き出すことが、後悔のない判断につながります。

STEP

契約書を確認する

サブリースの契約条件・解約条件・違約金・契約期間・自動更新の有無を把握します。
保有を続けるか、売却に動くかを判断するための重要な材料になります。

STEP

サブリース付き売却の実績がある仲介会社を選ぶ

一般の仲介会社に依頼すると、サブリース会社への連絡タイミングを誤って売却が頓挫するケースがあります。地位承継の実務経験がある会社を選ぶことが、売却成功の最大のポイントです。

⚠ よくある失敗

所有者様がサブリース会社に「売却を考えている」と伝えてしまうと、
警戒した会社が地位承継を拒否したり、保証賃料の減額交渉を先手で仕掛けてくることがあります。

【プロの視点】
「解約できない=売却できない」ではありません
ただし、動き方を間違えると本当に売れなくなります

まずは書類を整理して、専門家と一緒に数字で判断する。
それだけで、選択肢が大きく広がります。

実際の事例

「数字で見るまで、自分が出口を迎えていることに気づいていなかった。」

ある所有者様の話です。

購入時の月々の収支はほぼトントン。
それが金利・管理費・修繕積立金の上昇により、10年で月▲13,000円になっていました。
このまま持ち続ければ▲19,500円になる試算でした。

「売ったら損する」と思い込んでいた。
でも数字で整理してみると、サブリース付きのまま売却して手取り250万円が残りました。

その資金はNISAを活用して先進国株式・リート・債券へ。
保有し続けるよりも、国の税制優遇を見込めるNISAへ切り替えたほうが優位性があると判断しました。
納税リスクも回避しながら、ポートフォリオを最適化できた。

「損して売った」のではなく、「次の運用への最初の一歩」だったのです。

投資用マンションのリスクシミュレーション

サブリース付き投資用マンションの売却の流れ

ステップ1で契約内容を一つ一つ確認し、数字で比較した結果、「売却する」という判断に至った所有者様へ
ここからは、実際に売却を進める際の流れをお伝えします。

サブリース付き投資用不動産の売却は、通常の売却と異なるステップが必要です。
動き方の順番を間違えないことが、成功の鍵になります。

STEP

サブリース付き売却の実績がある不動産会社に査定を依頼する

サブリース付き物件の売却価格は、主に以下の4つの要素によって変わります。詳細は不動産会社と一緒に確認していくものですが、こういった要素が絡んでいることを頭に入れておくだけで、相談がスムーズになります。

  • サブリース会社の知名度・信用度
    過去にトラブルを起こしたサブリース会社が絡む物件は、金融機関が融資を拒否するケースがあり、売却自体が難しくなります。どのサブリース会社かによって、売却の可否が変わります。
  • 築年数・立地
    金融機関の融資基準と買い手の判断に直接影響します。築年数が古い、または駅から遠い物件は、融資が通りにくく買い手が限られます
  • ローン残債
    売却価格とローン残債の差額が、実質的な損益になります。損失が出る場合は差額の補填が必要になり、利益が出る場合は譲渡所得税と残債の減り具合を確認しながら、最適な売却タイミングを探っていく作業になります。
  • 保証賃料の水準
    サブリース付きのまま売却する場合、保証賃料の水準が査定額に影響します。物件によって状況が異なるため、不動産会社と一緒に整理していくのがスムーズです。
STEP

買い手の探索

サブリース契約付投資用マンションの買い手は、一般の投資家ではなく、サブリース物件に理解のある投資家に限られますサブリース付き売却の実績がある不動産会社であれば、そういった買い手へのルートを持っています会社選びがそのまま買い手探しの成否につながります。

STEP

地位承継の手続き

売買契約と同時に、サブリース契約の地位承継手続きを進めます売主・買主・サブリース会社の三者が関わる複雑な手続きになります。所有者様は担当者から調整状況を確認しながら、手続きが整った段階で書類にサインする形が一般的です。サブリース会社との直接のやり取りは、不動産会社に任せるのが鉄則です。

実際どうすべきか?FP×宅建士の判断基準

「売るべきか、持ち続けるべきか」

この問いに対して、不動産会社は売却ありきで答えます
一般のFPは不動産の実務を知らないまま答えます。
どちらに相談しても、本当の意味での「中立な判断」は得られません

本当に考えるべき比較
「今のうちに売却損を受け入れて手放すか」
VS

「持ち続けて、上昇している金利・修繕積立金に加え、将来の設備メンテナンス費用、契約内容によっては不利な条件を抱え続けるか」

この比較を、感覚ではなく数字でシビアに見ることが重要です。
購入時期・ローン残債・将来の収支・譲渡所得税——
これらを一つ一つ整理することで、初めて「自分にとっての正解」が見えてきます。

この整理は、不動産の実務とFPの両方の視点がなければできません。

「売却ありきではない立場で、数字を使って一緒に考える」——
それが、私たちにしかできないことだと思っています。

まとめ

サブリース契約付き投資用マンション物件の売却で最も避けるべきは、一人で抱え込んで動けなくなることです。

「売れるのかどうか」「いくらになるのか」「このまま持ち続けていいのか」——
答えが見えないまま、毎月の口座引き落としだけが続いていく。その時間が、一番もったいない。

でも、その時間は無駄ではありません。悩んできた分だけ、一緒に考えられることがあります。

手元に用意してほしい8つの資料

  • 購入時の売買契約書
  • 購入時の重要事項説明書
  • 購入時の長期修繕計画
  • 賃(転)貸借契約書(サブリース契約書)
  • ローン返済表
  • 管理組合から届いた書類(議事録等
  • 不動産収支内訳書(確定申告書)

これだけ揃えていただければ、「売るべきか持ち続けるべきか」を数字で整理するところから始められます。

FAQ

サブリース解約を断られたまま売却できますか?

売却はできます。「地位承継」という手続きで、サブリース契約ごと買い手に引き継ぐ方法があります。ただし「売れる」と「高く売れる」は別の話で、売却価格は相場より下がる傾向があります。

サブリース契約付きだと売却価格はどれくらい下がりますか?

物件・サブリース会社・ローン残債によって異なるため、一概には言えません。ただし1〜2割程度下がるケースが多いのが実情です。どのサブリース会社が絡んでいるかによって、売却の可否自体が変わることもあります。

違約金を払えばサブリースは解約できますか?

違約金を払えば必ず解約できるわけではありませんサブリース契約には借地借家法が適用されるため、オーナー側からの解約には「正当事由」が必要です。「売却したいから」という理由だけでは、正当事由として認められないケースがほとんどです。

誰に相談すればいいですか?

不動産会社に聞けば売却ありきになり、一般のFPは不動産の実務に詳しくない「どこに相談すればいいかわからない」という状態が、一番つらいところだと思います。宅建士とFPの両方の視点を持つ専門家であれば、売るべきか持ち続けるべきかを、数字でフラットに一緒に整理できます。まだ答えが出ていない段階からでも、話せる場所があります。

一人で抱え込まず、まずは話してみてください

悩んできた時間は、無駄じゃありません。
その分だけ、一緒に考えられることがあります。

売るべきか、持ち続けるべきか。
答えが出ていない段階からでも、数字で一緒に整理します。

CFP®・宅建士が対応 / 初回30分無料 / 全国オンライン対応

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

はじめまして。株式会社a-designs代表取締役/綾野1級FP事務所の綾野友人(あやのともひと)です。

1級ファイナンシャル・プランニング技能士およびCFP®としての「金融の専門知識」と、宅地建物取引士としての「不動産実務経験」を併せ持つ【不動産に強いFP】として活動しています。

金融機関や不動産会社に属さない独立系FPだからこそできる、顧客目線に立った忖度のないアドバイスが強みです。特に、投資用ワンルームマンションの運用・売却、サブリース契約のトラブルなど、他では相談しにくい複雑なお悩みに対して、長年の実務経験と最新の市場動向に基づいた実践的な解決策をご提案しています。

「売るべきか、持ち続けるべきか」「そもそも誰に相談していいかわからない」といった不動産とお金に関するモヤモヤがあれば、一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。専門家の立場から、あなたの「後悔しない選択」を全力でサポートいたします。

【保有資格・登録番号】
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(第F12321002618号)
・CFP®認定者(認定番号:90316318)
・宅地建物取引士【登録番号:(東京)第239324号】
・宅地建物取引業免許:東京都知事(2)第105331号

目次