SNSの影響は計り知れません。
最初は、ただ目に入っただけの情報が、似た投稿でタイムラインを埋め、
気づけば「持っていない自分が不安」と感じるようになる。
いわば、自分の意思とは関係なく“引き寄せの法則”を使われているような感覚。
今回は、投資が“前提”として語られる時代に社会人になったAさん(Z世代)の話をしたいと思う。
「みんなやってる」から始まった投資(2021冬〜2022年)
コロナ禍の冬。
友人経由で紹介された不動産会社の“社長”。
提案されたのは、投資用ワンルームマンション。
- 毎月プラスの収支
- 他人の家賃で資産形成
- 給与以外の収入
- あなたの信用があるからこそできる投資
SNSで見慣れた言葉に、Aさんの背中はそっと押されました。
まわりがNISAやS&P500の話をしている中、自分はこれで一歩先へ行けるかもしれない――
そんな高揚感に背中を押され、2022年、年明けに1件目を契約。

気づけば4件。借入総額は7,000万円超
契約後は気分が良かった。やっと一人前になった気がした。
だが、春、夏と季節が進むにつれて、不動産取得税や管理組合からの書類の波。
「これはなんだったっけ?」という書類がどんどん届くようになった。
じわじわ不安になり、”社長”に連絡をする。
すると、提案されたのはまさかの「複数所有」。
「複数持てば安定する」と言われ、
そのまま追加3件を契約。
家賃保証なし=空室時は全額自己負担。
そのまま3件を追加で契約。
気がつけば、合計4件、借入総額は7,000万円を超えていた。
家賃保証はなく、空室になれば支払いは全額自己負担。
4件の返済表を見て、胸に浮かんだ言葉は
「これ…破産するんじゃないか?」

頭から離れない「もし家賃が入らなくなったら」
不安は睡眠や食欲を削り、
仕事中もそのことばかりが脳内を占める。
SNSのタイムラインにはポジティブな情報ではなく
「不動産投資 破産」の文字ばかりが並ぶようになった。
貯金を始め、生活費を削る日々。
”社長”に連絡しても
はぐらかされる。
ようやく「騙されたかもしれない」と思い至る。
売却査定をWEBで依頼しても、どこも曖昧な返答ばかり。
再び騙されるのでは、という疑心暗鬼で身動きが取れなくなっていった。

2024年春、日本FP協会経由で相談へ
そんなAさんが、日本FP協会経由で当事務所にたどり着いたのは2024年の春。
状況整理するとーー
- 開業間もない不動産会社からの購入
- 金融機関の提携がなく、属性に見合わない高金利での融資
- 販売会社グループが賃貸管理委託契約(一部はサブリース契約)
- 賃貸借契約書は手元にない(法令違反の可能性あり)
まずは、入居者との賃貸借契約書の取得に動く。
Aさんから”社長”に連絡を入れると、
「書類は送る」と言いながら期日は未定。
さらに「売却するなら、こちらで担当する」と言い張り、
契約書は出てこない。
「契約書が手元にない/サブリースが不安」など、同様のご相談はこちらから。
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サブリースは逆ザヤ、不透明な販売背景も
確認すると、入居者からの家賃より、オーナーへの送金額が高くなる
逆ザヤのサブリース契約を結んでいたと考えられる。
販売会社側も苦しい状況だったのだろう。
サブリース契約を解除し、自主管理へ
状況を整理し、まずは管理委託契約・サブリース契約の解除に動いた。
契約書には「契約解除に関する条項がない」ものもあったが、
担当者と交渉したところ、引き継ぎさえスムーズに進めばOKとのこと。
1件ずつ、Aさんの賃貸管理契約を自主管理に切り替えていく。
そして、切り替えが完了した段階で、売却活動を開始。
まずやったこと(手順)
賃貸借契約、管理委託、サブリース、重要事項説明、融資契約書の取得と確認
空室・修繕・金利上昇時のストレスの再計算
条項不備でも”円滑な引継ぎ”を条件に合意へ
募集条件・鍵・入金経路・原状回復の標準化の流動性確保
相場確認→価格戦略→短期保有の現実(持ち出し覚悟)を共有
4件すべて大阪。けれど、売却のチャンスはあった
物件はすべて大阪。
一時期は「大阪は評価が出づらい」と言われていたが、
大阪万博や東京の価格高騰の影響か、タイミング的には売却チャンスが広がっていた。
とはいえ、所有期間が短いため利益は出ず、持ち出し覚悟の売却。
最初の1年で2件、翌年にさらに1件を売却。
最後の1件は価格が折り合わず、長期戦になっているが、
それでも借入総額7,000万円超→2,000万円未満まで削減することができた。
教訓として残しておきたいこと
「高揚感で買わなければよかった」という意見は、おいておいて、
大事ことは、
1件目で不安を感じたときに、また同じ営業マンに相談してしまったこと
そして、自分の中に“疑問”があったのに、そこで思考を止めてしまったこと
自分で判断がつかないときは、
必ず第三者に相談してほしい。
詐欺電話と同じで、「おかしいかも」と感じた時点で、一旦立ち止まること。
最初は受け入れづらくても、他の視点の話を聞くことで、冷静に戻れることもある。
これから買う/すでに持っている人のチェックリスト
- 契約書の原本(賃貸借・管理・サブリース)を今すぐ手元に
- **空室・修繕・金利+1.0%**のストレスでも所有可能か
- 管理/サブリースの解除条項・更新条件・手数料体系を理解
- 融資は属性相応の金利と期間か(家計に無理がないか)
- 売却時の想定価格レンジ(残債・諸費用・納税等考慮)を把握
- 同じ担当だけに頼らない(セカンドオピニオンの窓口を持つ)
- 投資用不動産のセカンドオピニオン
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