住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)
個人が住宅ローン等を利用して、
マイホームの新築、新築・中古住宅の取得又は増改築・リフォーム等を行い、
一定の要件を満たす場合、住宅ローン等の年末借入残高に応じて所得税が減税される制度です。
このページでは、
ローン減税(住宅ローン控除)の概要と適用条件、消費税増税(10%)後の制度内容、注意点を記載しています。
プロローグ
先日、お客様にお会いしました。
いよいよ自宅を購入したいと思います。
自宅購入候補の提案をお願いできますか?
それでは、ご自宅のご希望条件等を
一つずつお聞かせ頂けますか。
それにしても急がなくてはいけませんよね。消費税10%への増税時期がせまってきましたから。
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の優遇もありますので、
そんなに焦る必要はないと思いますよ。
じっくり良いお家を探していきましょう。
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)とは?
「住宅借入金等特別控除」は、
住宅ローン減税、住宅ローン控除等、の正式名称です。
分かりやすく、堅苦しくないように、
一般的に住宅ローン減税や住宅ローン控除という言葉が利用されています。
住宅ローン減税も住宅ローン控除も同じ意味になりますので、
このページでは住宅ローン減税という言葉を使っていきたいと思います。
住宅ローン減税の適用条件とは?
まずは適用される条件からきていきましょう。
①居住制限
新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、
適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
きちんと住んでいることが確認出来ることが住宅ローン減税の摘要条件になります。
②所得制限
特別控除を受ける年分の合計所得金額が、
3千万円以下であること。
会社員の方は、給与収入ではなく、給与所得控除後の所得金額で判断されます。
不動産所得がある方の場合は、更にその不動産所得を加減した金額になります。
③広さ(床面積)制限
新築又は取得をした住宅の
床面積が50平方メートル以上であり、
床面積の2分の1以上の部分が
専ら自己の居住の用に供するものであること。
床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。
物件のパンフレットに記載されている面積とは異なりますので、必ず不動産の担当者に確認をしましょう。
④住宅ローン制限
10年以上にわたり
分割して返済する方法になっている
新築又は取得のための一定の借入金又は債務があること。
(住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含みます。)
- 住宅借入金の期間:10年以上であることが住宅ローン減税の摘要条件です。
- 勤務先からの借入金の場合:無利子又は0.2%(平成28年12月31日以前に居住の用に供する場合は1%)に満たない利率による借入金は借入金には該当しません。
- 親族や知人からの借入金:全て借入金には該当しません。
住宅ローン減税の摘要期間と最大控除(減税)金額
新築で取得もしくは建築したケース
住宅ローン減税の摘要期間と最大控除(減税)金額は、居住の用に供した時期により、異なります。
平成26年(2014年)1月1日から平成33年(2021年)12月31日の間に 居住の用に供した方 |
|
控除期間 | 10年 |
控除金額 | 各年の年末残高×1% |
最大控除(減税)額 | 40万円 |
それ以外の時期に居住した方はこちらのページを参照下さい。
※ページ中段部分の3.住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額の計算方法に記載されています。
※認定長期優良住宅又は、 認定低炭素住宅の場合は、最大控除(減税)額が50万円になります。
消費税5%の時に購入された物件を中古物件として購入するケース
平成26年(2014年)1月1日から平成33年(2021年)12月31日の間に 消費税5%の時に購入された物件を中古物件として取得し、居住の用に供した方 |
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控除期間 | 10年 |
控除金額 | 各年の年末残高×1% |
最大控除(減税)額 | 20万円 |
※消費税が5%から8%に変更されたのは平成26年4月1日からになります。
最大控除(減税)額が40万円もしくは20万になるか不明な場合には、検討している不動産会社の方に確認しましょう。
消費税が10%になった場合
控除期間は13年になる予定です。確定した情報が判明しましたら、情報をUPします。
- 増改築等をした場合
- 省エネ改修工事をした場合
- バリアフリー改修工事をした場合
- 耐震改修工事をした場合
- 多世帯同居改修工事をした場合
- 耐久性向上改修工事をした場合
上記に該当する場合には、新築や中古物件を取得する場合とは、規定が異なります。こちらを参照下さい。
手続き方法
1年目 | 必要書類とともに、確定申告書を提出する必要があります。 |
2年目以後 | 給与所得者(サラリーマン、公務員)の方…年末調整で対応が可能です。
給与所得以外の方…1年目と同じように、必要書類とともに確定申告書を提出する必要があります。 |
注意点
支払う予定の税金以上には戻りません。
最大控除(減税)額は税法で決まっていますが、支払う予定の所得税・住民税以上には戻りません。
住民税から控除されますが、住民税控除には上限があります。
消費税率 | 住民税控除(減税)限度額 |
消費税8%または10% 適用の場合 |
所得税の課税総所得金額等×7% (最大13.65 万円) |
上記以外の場合 | 所得税の課税総所得金額等×5% (最高9.75 万円) |
※適用期間 居住開始日:平成26年4月1日~平成33年12月31日
転勤すると減税は無くなります。
適用条件でも書きましたが、適用条件に住んでいることと、とありますので、転勤し、住民票の移転等があると減税はなくなります。
○単身赴任のケース
取得、建築した日から6か月以内に配偶者と生計を一つにする親族が入居し、その後も引き続き居住しており、
単身赴任が解消した後、その家屋に居住することが認められる場合は、
住宅借入金等特別控除等の摘要条件を満たしていると判断されます。
○転勤のケース
転勤した日の属する年以降、
住宅借入金等特別控除等の適用は受けられませんが、
再び居住する日の属する年以後に、
摘要条件を満たす場合には、
残存控除(減税)期間は、再適用を受けることができます。
- 勤務先からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由があること。
- 平成15年4月1日以降に、その家屋をその者の居住の用に供しなくなったこと。
- 家屋を居住の用に供しなくなる日までに、一定の手続を行っていること。
住宅取得時に贈与を受けた場合は、要注意です。
最近ニュースになりました。
住宅の取得等に関し、
住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けた場合、
特例を受けた部分の金額を家屋の取得対価の額又は土地等の取得対価の額から控除します。
【例】住宅購入価格3,000万円の場合
銀行からの住宅借入金 2,000万円/住宅取得資金の贈与1,200万円
※贈与資金が200万あまるようなケースが考えられます。
特別控除対象額:①②のいずれか低い方 | |
①住宅借入金 | 2,000万 |
②購入価格ー贈与額 | 3,000万ー1,200万=1,800万 |
このケースでは2,000万円ではなく1,800万円が特別控除対象借入額となります。
※引越代や家具代に贈与資金を残した場合等が上記に該当します。
住宅ローン控除の使い道
一番ベストは、
住宅ローン控除分を貯蓄し、将来的な修繕費用にあてていくことです。
戸建てにしろマンションにしろ、
お家はメンテナンスを行なっていかなければ傷んでいきます。
とはいえ、
毎月の住宅ローンの支払いとは別に修繕費用(リフォーム含む)を貯めて行くことは大変です。
そのため、
住宅ローン減税を有効活用できると良いですよね。
ただ、そうはいっても慣れない住宅ローンの支払いになりますので、
最初はうまく貯めることができず、
不動産取得税や固定資産税等の支払いにあたっていくのが一般的です。
一番避けたいのは、住宅ローンの支払いにあてることかと思います。もちろん住宅ローン減税分も見越しての支払い金額設定は避けましょう。
10年なりの期限のある制度になります。減税に頼ることのない余裕を持った支払い計画を立てましょう。
以上になります。
物件の購入価格や住宅ローンのお支払い金額にご不安のある方は、不動産業経験のあるFPへ!お待ちしております!